賃貸・売買の物件紹介文はAIに書かせていいのか判断基準
結論:下書きはAI、事実確認と規約チェックは人が最後まで担う
ポータルに掲載する物件紹介文は、AIに下書きを作らせて問題ありません。ただし「面積・築年数・設備・徒歩分数」といった事実情報は必ず人が元資料と照合し、誇大表現や二重価格表示にあたる言い回しは掲載前に人の目で確認する必要があります。ドラフト作成から掲載までを無人で回す運用は避けたほうが安全です。
なぜそれが答えになるのか
物件紹介文は、マイソクや図面、設備表を見ながら似たような構成の文章を毎回手で組み立てる作業です。この「型は同じだが情報は毎回違う」という性質は、AIによる文章生成が力を発揮しやすい領域です。実際、間取りや設備の情報を渡せば、読みやすい紹介文の骨格はすぐに出てきます。
一方でAIは、渡された情報以上のことは知りません。図面や設備表を正確に渡さなければ、存在しない設備を書いたり、方位や階数を取り違えたりすることがあります。ポータル掲載後にこうした誤りが発覚すると、内見の申込者からの問い合わせで矛盾が発覚し、管理クレームや信頼低下につながります。
さらに不動産業界には、公益社団法人不動産公正取引協議会連合会が定める「不動産の表示に関する公正競争規約」があり、徒歩分数は道路距離80メートルを1分として算出することや、誇大な表現・二重価格表示を避けることが求められています。AIはこうした業界ルールを前提知識として持っているとは限らないため、生成された文章がルールに沿っているかどうかは、最終的に人が確認する工程が欠かせません。
具体的にどう進めるか
物件紹介文の作成を仕組みにするときは、「AIに任せる部分」と「人が必ず確認する部分」を最初に分けておくと運用がぶれません。
| 工程 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| 情報準備 | 人 | マイソク・図面・設備表・現地確認メモをテキスト化して用意する |
| ドラフト生成 | AI | 準備した情報をもとに紹介文の初稿を作成する |
| 事実確認 | 人 | 面積・築年数・設備・方位・徒歩分数を元資料と一つずつ照合する |
| 表現チェック | 人 | 「完全」「絶対」など誇大表現や二重価格表示にあたる言い回しがないか確認する |
| 社内承認 | 人(管理者) | 掲載前に上長または管理担当が最終確認する |
| ポータル掲載 | 人 | 承認後に掲載作業を行う |
進め方の順序としては、まず1件の物件で試すのが現実的です。手順は次の通りです。
- 既存のマイソクや設備表をテキスト化し、AIに紹介文の初稿を作らせる
- 初稿を元資料と並べて、数字と固有情報(駅名・設備名・築年数など)を一つずつ突き合わせる
- 突き合わせで見つかった誤りのパターンを記録し、次回の情報提供の仕方を改善する
- 表現面は、社内で「使ってよい言葉」「避ける言葉」のリストを作り、AIへの指示文にあらかじめ含めておく
- 数件試して精度の傾向が見えてきたら、賃貸・売買・新築など物件タイプ別にテンプレートを分ける
この流れを踏むと、AIが作るのは「初稿」であり、掲載できる文章にするのは人の確認作業だという役割分担がはっきりします。ここを曖昧にしたまま導入すると、誤情報がそのまま掲載されるリスクが残ります。
筆者の自社運用
筆者自身、事務作業は後回しにしがちで、商談のあとの議事録もメモ書きのまま放置することが多くありました。今は商談を録音しておけば要約とお礼メールの下書きまでAIが自動で仕上げてくれるため、確認して送るだけで済んでいます(※あくまで筆者の体感です)。物件紹介文のような「情報は違うが型は同じ」文章も、この考え方がそのまま当てはまると感じています。AIに初稿を任せ、事実確認だけ人が担うという分担は、業種を問わず有効だという実感があります。
やらない方がいいケース
次のような案件は、AIによる下書き作成をいったん避け、最初から人が書いたほうが安全です。
- 価格や間取りが未確定の新築・分譲案件(確定前の情報を文章化するとトラブルの元になります)
- 事故物件や訳あり物件など、重要事項説明との整合性が特に問われる案件(一般的な言い回しでは説明義務との食い違いが生じるおそれがあります)
- 権利関係が複雑な物件(借地権、共有名義など、専門的な言い回しが必要な案件)
これらは、AIが作った一般的な文章では表現の粒度が合わず、確認の手間がむしろ増えることがあります。まずは条件がシンプルな物件から試すのが無難です。
最初の一歩
明日から試せることとして、すでに掲載済みの物件紹介文を1件選び、その元資料(マイソクや設備表)だけをAIに渡して紹介文を作らせてみてください。既存の掲載文と見比べて、どこが合っていてどこが違うかを確認するだけで、自社の物件情報をどう渡せば精度が上がるかが見えてきます。
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